xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>310 夏目 央
謝りながら笑うんじゃないわよ。(ぴしゃりと一声発してはみたものの、実際然程怒っている訳ではなかった。尤も、相手によっては直様締め上げにかかっても不思議ではない行動ではあったのだが。今は怒りよりも寧ろ、らしくない彼女の行動への驚きの方が強い。またひとつ目の当たりにした彼女の変化に刺々しい態度を取る気も何だか薄れてしまうと言うもので、溜息混じりに肩を竦めると視線だけはじろりと彼女を捉えたままぼやいた。年下の、それも唯の年下ではない。年の差など数える方が億劫になる程年の離れた少女を目の前にして沈黙を晒すしかなかった己を思えば口惜しい限りだが、こればかりはどうにもならなかったらしい。慣れない行動言動を積み重ねる内、一番の気に入りである筈のこの部屋の中でさえ妙に居心地が悪くなってしまい、"もう用は済んだ、出るわよ"なんて言葉を掛けてさっさと動き出そうとしていた矢先。まさか己の発言が彼女の中に引っ掛かりを生んだとは思っておらず、思っていなかっただけに投げ掛けられた問いに対しぴくりと片眉を上げる事で反応を示すと「アタシが――アタシ達が此処を出られない理由は、アンタとは違う。もう誰も死にたがっちゃいないわ。でも、この館に招かれる"死にたがり"だけ。アタシ達もそうだった、気の遠くなる程昔の話よ。」と、あからさまに面倒臭そうな顔をしながらも答え始める。どうやら、この手の説明は不得意分野らしい。はぐらかす事こそしなかったが答えと呼ぶには些か不親切な答え。今度こそ部屋を出て行くべくゆっくりとその場を動き出せば「その辺の事は、マダムかギャルソンか――もっと面倒見の良いのに聞いて頂戴。アタシは御免だわ、面倒臭い。」と言い切った後、"来るなら来い"と言わんばかりに顔だけで後方の彼女を振り返って)
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