---Abandoné【 指名制 】

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xxx  2017-12-05 23:46:58 
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 ある者の目で見れば、
 それは朽ち果てた館の跡。

 またある者の目で見れば、
 それは荘厳なる"ナニカ"の館。
 
 
 「 おいで。 」 「 おいで。 」
 「 ようこそ。 」 「 ようこそ。 」


 反復する囁きが聞こえたなら、
 手招くこの手が見えたなら、


 「 お前は館に 」 「 招かれた。 」
 「 館は 」 「 お前を 」 


 気付いた時には、もう遅い。


 「 「 つ か ま え た ! 」 」





>「 もぉいいかい? 」 「 まぁだだよ! 」


 

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  • No.114 by マリウス  2018-01-03 23:27:22 


>112


…そうか。彼女は…希望を見付けられたのか。成る程、少しでも心通わせ触れ合ったものに看取られるのならば、その最後は幸せなんだろうな。
(掌に乗る本の持ち主はどうやら死という終焉を迎える事が出来たらしい。同じ死にたがり、というカテゴリーに分けられた仲間だからか、他人のような気がしない。そっと机の上に丁重に置けば、両手を合わせ暫し黙祷を捧げる。最後の最後、この館で希望を見つけ、生を終えたのだろう。浮かぶ疑問を今、口にするのは無粋というもの。ただただこの時ばかりは見も知らぬ女性のために細やかなる祈りを。ぼそり、この静の空間を壊さぬよう、小さな声量で上記を零す。合わせた両手は解き、膝の上へと下ろして。開いた瞳は、何事もなかった様に先程同様作業を続ける不可思議な男性の移ろう姿を眺めやって。だが視線はそこを見ているようで遥か遠くを移しており。脳裏を過るものは果たして何であったか。最早色褪せ思い出せぬ程遠い過去の栄光。死の直前、誰かが傍らに居るなど自身にはない選択肢であった。だが、本当にそうだったろうか。願わくば妻と子に───その先の希望は心の中でも声にはならず、淡く掻き消えた。そっと見下ろした手はどす黒く汚れているのだ。今更安らかな死を求めるなど滑稽だ、己でも分からぬ感情の狭間で揺れる。こんなにも心が動かされるのは、女性の手記のせいか、それとも…何処か影のある彼のせいだろうか。唇から溢れた吐息が思いの外、重かった。片手で垂れてきた前髪を搔きあげ、一度深く腹の底から息を吐き出し新鮮な空気を取り込んで。耳から入るか新たな情報に意識を傾けては、新たなワードに興味は移る。全くこの屋敷は本当に奥深い。螺旋階段のようにぐるぐると色々な事柄が交わり絡まっているようだ。)
所詮は同じ穴の貉、という訳か。俺たち人間の様に寿命がないぶん、苦痛も一入、と言うべきか。そうだな…どう暮らしてきたのか知らない。例え知ったところで、己の考えが変わるとも思えないが。死にたくなくなった時、俺たちは寿命を取り戻すのか?何とも皮肉でよく出来た話だ。

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