アリスは憂鬱な夢を視る

此処は久方ぶりに静かで良いと思っていたが、静かも繰り返すと暇で為らん。
土産は美味い酒でなければ迎えてやらんよ。
細かな連絡をしては折角の散策も野暮のこと。詳しくは土産の酒のツマミとして楽しむ事にしようか。

追伸、
お前が居なくては何処に何が有るかが分からん。
少しばかり荒れてしまったが堪忍してくれ。


(心配をしていなかったと言えば嘘だ。届いた手紙を読めば少なくとも元のクニに帰った訳じゃ無いと言う事だけが伝わり安堵に変わる。この国にいるならこれ以上の心配は束縛で在り依存である、そんな野暮なことを生娘でも有るまい彼に押し付けるのは聊か過剰な事だろう。まるでメモ紙のようなシンプルな白い紙に短くもその文章を綴ると追伸に述べた通り封筒が見当たらなくて困りあぐねる。仕方有るまいと同様の紙を折り畳みテープで止める事で余りにも簡易な封筒に仕上げればそれを閉じ、鳥を呼び「―――何処かにいる放蕩息子に、」と暗に送り主である彼を仄めかし。そうして空に消えてく鳥を見届けて振り返ればあれが無いこれが無いとひっくり返すうちに大惨事となっている部屋を見渡し「どうした物か」と嘆く一言が部屋に消えて)


(/気付くのが遅れてしまい申し訳ございません…！公爵夫人はお土産話を楽しみに待っているようなので、是非この機会に色んな場所を楽しんでみて下さい…！)