赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>伯爵夫人
(見た目は女性的でありながら帽子屋のサバサバとした性格は悪くはなかった。その証拠に占い館までの道のり、相変わらず小煩い植物を甚振りながらも彼とはそれなりの会話を続けてきたのだから。だがそんな時間も一軒の古びた建物を前に終わりを告げる。男性の声に呼ばれるまま去っていく帽子屋へ何か伝えようと口ごもるが結局声となって出ず、後姿に一瞥をくれてやっただけ。次いで眼を向けたのは己から見れば随分小さな和装美人。左右の瞳はそのままくり抜いて宝石にしてやりたいくらい透き通っている。唇を引き結んだままの堅い表情の下、首根っこを掴めばすぐにへし折れそうだと残忍な思考が膨らんでいたが、己の目的を勘違いしている相手の発言によりその残虐な考えを一時中断すると小さな背中に続いて敷居を跨ぐことになるであろう)
占い?――違う。俺はあの帽子屋に美しくない所へ、と。そう頼んだのだ。
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