赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>三月兎
(美しさや綺麗なものを好まないのだから己の髪のことも一度たりともそうだと思ったことがない。蜂蜜と髪色とを比べられ綺麗だと言われるならば不満そうに顔をしかめるだけ。一般的にスイーツと呼ばれるそれらをあまり食べる機会がなかったため、テーブルに並べられた中身がどんな味をするのか予想がつかずまるで異文化に触れたように瞳孔が開く。黄金色の蜜に絡むナッツの小瓶を見ればつい、髪色云々とは関係なく綺麗だと思ってしまった。感情とは恐ろしい、嫌で嫌でたまらない綺麗だの美しいだのという気持ちだって無意識のうちにこうして抱いてしまうのだから。そんな小瓶の味を知ってしまうのは僅かにではあるが怖かった。今以上に心が揺さぶられてしまいそうな気がして――。だから、無難そうな茶色いショコラを摘みあげ、今度はそう警戒せずに口に入れる。洋酒の香りを感じたかと思えばすー、と綿飴のように舌の上で溶けて言ってしまうそれ。名残惜しく舌先で口内をつつきビターチョコの余韻を求めつつ相手の発言は真に受けていないのか「こちらに“来れた”んだから帰れないわけないだろう。それにそんな甘い言葉を吐かれたところでどうにかなる俺じゃない。口説く相手を間違えているぞ。」と、冷静に返すのは気に入ってもらえるような人間じゃないと他の誰より自分がよく知っているからで。読めない相手の笑みをじっと見つめながら「何が目的だ」と裏を探るようにもとよりきつい目を鋭いものに変えた)
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