赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>三月兎
(ようやく庭園から出て薔薇から逃れようとも結局他の草花たちが話し掛けてくる。しっ、しっ、と手で払いながらしつこい輩には片手に持った薔薇の棘を摘み取って投げつけてやり。意志を持って動く植物など長年生きてきた人生、どの記憶を辿ってみても見つかりやしない。自分ではマトモだと思っていたのだがもしやあの精神科医の頭のネジが吹っ飛んでいるわけじゃなく己がおかしいのだろうか。一抹の不安は相手の言葉によりじわじわと広がっていき思わずそれを掻き消すように言葉尻に食らいつき「元のクニ、とは何だ。俺の知ってる世界はひとつしかない。――誰かと共に住む気はないぞ。俺には自分の屋敷があるのだ。」と珍しく表情に焦りの色が浮かぶ。だからこそ音も立てずこちらに伸びてきていた相手の手には気づくことなくいいようにされてしまって。どこか満足そうに笑む相手とは反対にぎりりと歯を噛み締めて舌打ちをすれば垂れた前髪を片手でかき上げながら「――ッ、貴様。気安く触れるな。その耳毟り取ってやろうか。」と。精神病棟でも奇抜な面を被った少年から真っ赤なルージュを鼻先まで塗ったくった婦人まで、いろいろな人を見てきた。当然相手のその耳もカチューシャか何かにより取り付けられているだけだと思っているため、笑い止まらぬ様子の相手に手を伸ばせば遠慮なく引っ張ろうとして)
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