赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ユニコーン
(あとは目の前の彼に渡すだけ、たったそれだけの事だと分かってはいても、人間慣れない事はそう簡単にこなせないらしい。普段と変わりなくマイペースな雰囲気のままで居る相手の仕草や返事に、此方が何かをしようとしている事にとっくに気がついた相手が笑いを堪えようとしているなどとは思ってもいない。柄にも無く緊張めいたものがぐるぐると渦を巻くように纏わりついているような気がしてつい眉根を寄せたが、意を決して右手に持っていた小さなその箱をそっと差し出した。金色のラインで縁どられたリボンが結ばれたその黒い箱の中には、日中ひとりで訪れた雑貨屋で選んだ髪留めが入っている。どんな物を選べば喜ぶのか、どんな物が好みなのか――そんな事を考えながら選んだのは、黒とも青とも表現出来る夜空の色に細やかな銀色の煌きを散らしたヘアカフス。見る角度や光の当たり方によって、紫色を溶かし込んだような不思議な色合いを見せる。よく見ると、金色の小さな点とそれを繋ぐ細い線とが一角獣座の形を描いていた。少なくとも邪険な反応はされないだろうが、気に入ってもらえる保証はない。そう思えばこそ、今回ばかりはそわそわと落ち着かない様子を隠せないままに「…時計の――……礼に、」ともごもご呟く。兎に角受け取れと言わんばかりに差し出した手を相手の方へ近づけながら「…使うか使わないか、好きにしろ。」と照れ隠しに可愛げの無い言葉を一言添えて)
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