赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>侯爵夫人
……、(そそくさと庭園に戻した視線は辺り一面の雪景色をただぼんやりと眺めるばかりであったが、あくまで此方に向けられた言葉と笑い声の数々を無視し続ける訳にもいかず、半ば諦めた様にゆらりと視線を相手の方へと流した。目に新鮮なその東洋の出で立ちにすう、と目は細まり、次第に初めと同じ遠慮のない観察の眼差しがじろじろとその姿を眺め始めて。互いに同じ様な眼差しを送り合いながら頭の先から足の先までをじっくりと観察し、印象的な点は幾つかあったが中でも目を惹いた異なる色合いをもつ両の目をじっと覗き込む様に見詰めて。それにしても、こんな時は一体どんな言葉を返せば良いのか。コミュニケーション能力の低さがこれでもかと仇となり、つらつらと言葉を紡ぐ相手を目の前にしてただ沈黙していた矢先、どっぽどっぽと豪快に注がれる日本酒には否応なしに気を取られる。酒は呑めるのか、答えだけを返すなら『Sí.(はい。)』である。言葉の代わりに黙ってグラスを受け取る事で返事の代わりとすれば「…静かだったから、此処に来た。」と、先程わざわざ相手が聞かずに置いた"此処に居る理由"を添え、グラスの中身を一気に飲み干して。酒は嫌いではない、飲酒が許可される年齢になってから未だ一年程しか経っていないが、飲み始めた年齢はもっと若かった。飲み慣れぬ日本酒の味、ふわりと鼻に抜ける香りとやや甘めの口当たりにちろりと舌で唇を舐めつつ空のグラスをことり、と置き直せば「よく喋るな、お前…それ空にしたら少しは静かになるか、だったら飲む…変わらねぇならもう良い。」と、彼のこの勢いの根拠を察する事も出来ぬ内に、一升瓶を目で示しながら告げて)
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