赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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(目の前の扉が開くのを待つ間も、視線は扉を外れてドレスの胸元から裾に向かってをゆっくりと下りながら眺めていた。これ程上等な仕上がりのドレスを試着する機会に出くわす事になるとは、驚きと嬉しさが入り混じったそんな気分で彼の反応を待っていたが、扉の向こうから明るい返事が聞こえてくると視線がさっと目の前の扉へと戻り。彼の素直な反応はまず表情に表れるはずだと姿勢を真っ直ぐに正しながら表情が変わる瞬間を待ち、きゅっとその形の良い赤い唇が持ち上がるのを見ると「ありがとうござます。」とほんの僅かほっとしたような笑みと共にそう言って一礼する。「こんなに綺麗で幻想的な装飾は見た事がない――素敵なドレスですね。」と改めて素直な感想を一言添えつつ、もう一度視線をドレスへと落とす。散りばめられた星や貝殻の煌きを指先でそっと撫ぜながら(他にはどんなドレスを)と自然な興味からそう尋ねようと口を開きかけた所で彼の呟きを拾うと、クリスマス、もうそんな時期だったかと思い出したように瞬いて。それから丁度同じようなタイミングで上がったふたりの視線はかちりと合い、尋ねかけるような彼の言葉には「いえ、まだ――クリスマスパーティーですか?」と首を傾げて)
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