赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>侯爵夫人、ドードー鳥
薬を使わずにこんなに眠ったのは久し振りだ、あなたのおかげかな。……あ、その話なんだが、もし侯爵さんが迷惑じゃないならもうしばらくお世話になっても……。(常であれば就寝前の睡眠薬は欠かせないが昨夜自然に眠りに落ちることが出来た。こんなにすっきりとした心地よい目覚めは何年振りだろう。寝癖のついた黒髪を骨張った指先で掻き上げながらしみじみと呟いた声は思いの外柔らかな響きを伴い。当初の予定通り、城への道案内を申し出る声に、はたと動きを止めて、一夜を共にした家主の方をじっと見やった後に物怖じすることの少ない己にしては珍しくおずおずと、一言一言、遠慮がちに言葉を紡ぐ「掃除と洗濯はあんまり得意じゃないが、努力する」「あと酒も強いし」「オレも煙草を吸うから、喫煙されても平気だ」等々。要領を得ないセールスポイントの数々は大したアピールにもならないだろう。それでも彼から視線を外すことはなく、朝陽を受けてより鮮やかな色を帯びてみえるオッドアイを真っ直ぐに見つめる。そんな最中、突如階下から響いた来訪者の鶴の一声。数十秒も経たぬ間に、階段を上がり、新しく現れた陽気な客人に対して首を傾げるも拒絶する気はなく、親愛のハグに応じて彼の腕の中に収まったまま瞳を瞬かせ。昨日の記憶と今しがた家主から受けたばかりの説明を脳内で反芻すると、おかしそうに蒼眼を細めて、くつくつと低く笑い)ciao、ミスター…ええっと、あなたが侯爵さんが言ってた鳥さん?ふ、ははっ、動物の鳥じゃなかったんだなあ。
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