赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>白兎
(こうしてある程度の落ち着きを取り戻した上で目的の場所へ向かう中、今の今まですっかり記憶の片隅に追いやられていた世界中でよく知られる御伽噺を今更ながらに思い出す。不思議の国へ迷い込む少女アリス、それに自分自身を当て嵌められるかと言えば決してそんな事はなく、似つかわしくない役目だとひとつ息をついた。とは言え突然の出来事に慌てふためき途方に暮れるなどと情けない姿を人前に晒す訳にはいかない。元の場所へ戻る方法が現時点で分からない以上は、少しでも上手くこの場所で過ごせる様に情報を集めなければと、彼の後について歩く間も右へ左へ上へ下へとあちこちに目を遣った。彼からの助言とも言える言葉が聞こえてきたのは、丁度動き回る薔薇の蔦が気になり始めて居た時。成る程、とでも言いたげに頷けば「ご忠告に感謝します」と、彼の手に払われ渋々引き下がっていく蔦を一瞥する。ここでふと腕時計に目を遣ると、先日電池を交換したばかりの時計が既に全く動いていない。よって正確な経過時間を確認する事は出来なかったが、この頃になると少しずつ余裕も出てきていた。城についての説明がなされる中で然りげ無く入ってきた彼の名前を聞いてはた、と顔を上げれば「申し遅れました、私は吉隠 貴悠。尤も、貴方達にとっては私は"アリス"でしかないようだから、必要な情報かどうかは分からないけれど…私にとっては大切な名前だから、名乗らせて貰うわ。」と恐らく名を名乗った所で彼は呼び名を変えはしないだろうと予想はしつつ遅めの自己紹介。そうしている内に漸く辿り付いた出入り口の前に立ち彼の指差す先へと視線を移せば、ゆっくりと顔を上向かせながらその全体を眺め「貴方の言った事が本当なら、住居を変えるメリットが私にあるとは思えないわね」と城の敷地外に出て出会うであろうまだ見ぬこの国の住人達を想像して)
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