赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>白兎
(普段幻覚症状が現れる時、それはあくまでも一時的なもので殆どの場合ある程度時間が経てば、或いはそれこそ数秒単位の僅かな時間で消えてしまう。ところが、今まさに躙り寄ってくる薔薇の花もその周りに広がる見覚えのない景色も一向に消える気配が無く、自分の中にらしくもない焦りに似た感情が生まれようとしているのを感じていた。動かずにいるつもりだったがこれではやむを得ない、動く薔薇に閉じ込められると言うあまりに非現実的な状況を避ける為に一歩二歩と動き始めた足が再びぴたりと止まったのは、不意に聞こえた人間の声で)私は――(顔を上げ、視線の先に立つ彼が時計へ目を遣る寸前に一瞬だけ目が合った様な気がした。覚えの無い名で呼ばれたが、彼はどうやら自分に対して声を掛けたらしいと言う事、そして今この状況では一先ず彼に何らかの助けを求める他無いと言う事を瞬時に理解する。思わず開いた口からは"私はアリスではない"と言う旨の主張が飛び出しかけたものの、此方の反応を待たずに歩き出してしまうその後ろ姿に止まっていた足を再び動かした。此処が何処か、彼は誰か、これから何処に行くのか、何一つ分からない状況下でも背筋は真っ直ぐに伸び、前方の彼へ追いつこうと早足に進んで)立ち止まる時間が無駄だと言うのなら、このまま、歩きながらで構いません。幾つかお伺いしたい事があります。(取り乱してはいけない、落ち着いていなければいけない、そんな意識が冷静さを保とうとしているのだろう。先を歩く彼の背にそう声を掛けてみる事にして)
( / お迎えに感謝致します!では、暫しお相手下さいませ。これにて背後は失礼致します。)
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