赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>三月兎
( ベッドサイドの棚。大きくも小さくもなく、奇抜な色をしているわけでもない。ようは充実した客室の中にうまく溶け込んでいて、特にこれまで気に留める対象ではなかった。……その棚に並べられていた書籍をふと手に取ったのは、恐らく暇を持て余していたから。森の探索を終え夕食も済ませた昨日の夜、厚みもサイズもバラバラなその本たちに少し興味がわいたのだ。どうしてかどの本にもタイトルと著者名はなかったので、右端から一つずつ手に取り一番カバーの加工が美しい書籍の表紙をぺらりとめくる。するとそこには一枚の書付が挟まっていて、次のページを繰る前にまず目を通した。『P126 古くから――――……』
この部屋を使用したことのある客人が残したものかもしれないが、この屋敷の住人が残したものである可能性だって0じゃない。要約するでもなく126ページの一文がそのまま書き記されたあのメモを、わざわざこうして保存した者がいるのならそのわけを聞きたかった。この文章を、理解することが難しかったから。126ページだけをゆうに5回は読んで、羊皮紙を挟み直さず棚に戻すと眠りについた。 )
あぁ、三月兎。時間はある?
( 昨晩発見した羊皮紙を胸ポケットにしまって屋敷を歩き回る。ここはあまりにも広いので、自分が行ったことのある場所だけをひとまず探して、誰にも遭遇しなかったことに溜め息を吐いた。庭に誰かがいることを期待して、踵を返せば足早に出入り口を目指す。外に出たとたん吹き付ける冷たい風を肌で感じながら歩いていると、大きな兎耳を生やした男が優雅にお茶を飲んでいるのが目に入り。ベルガモットの匂いに誘われ近付くと、努めて穏かな声色で声をかけた。 )
( / ありがとうございます。よろしくお願いいたします……! )
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