赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>チェシャ猫
(自分の作戦通り、彼の口から溢れた自身への賞賛の言葉にやっぱりアタシは可愛いのだと留まることをしらない過剰なほどの自信が告げてくる。そのおかげで、機嫌は更に良くなりうっかり、そうでしょと心情と同じく発したくなる。ただ、それでは可愛くない、積極的よりは謙遜する女の子の方が男の人には受けることを知っている。「そう、かな?ありがとっ、チェシャ猫が照れてるの可愛いっ!」驚くようにぱちくりと瞬きを幾度かしてみせたあと、上がりたくて堪らなく震えかけていた口角を惜しげもなく上げ、満面の笑みを一つ浮かべて。
「わっ!すっごい…別の国に来たみたーい!って、来たんだった、アタシったらおバカさんっ」様々な人々、そして様々な店が目に入る。顔を寄せられたことには、それに対し驚いたこと、そして自分がいた場所では見たことがなかった綺羅びやかな光景に驚き、いつもならできた反応をすることを忘れた。代わりに感嘆の声が溢れ、考えることもなく吐いた感想の不備に気づけばチャンスとばかりに、テヘッと舌を出し片目を伏せ。彼に向けられる様々な挨拶に、クスリと笑みを浮かべながら、彼の横を歩き。「迷っちゃうなぁ、うーん…煙草、お酒、あっあとお菓子もあるよね?あるなら、お菓子からみたいなっ!」腕をくみ、コテンコテンッと首を右へ左へ傾けながら、見たいものを一つ一つ確認するように呟き、素早くメリットデメリットを考えると人目を気にせず手っ取り早く摂取出来るのは菓子の類。となると、選択肢は一つ。寄せていた眉は、思いついた途端弾けたように元の位置へと戻り、にこやかな笑みと共に彼に顔を少しだけ近づけて。これは、さっきのささいなお返し。そんな悪戯心をその笑みの下に隠して。)
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