赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ユニコーン
――そうか、(行儀悪くテーブルの上に腰掛けながら、黙ったままじっと相手の様子を見詰めているのは他でもなくその感想を気に掛けているからこそで。すっと鼻に抜けるブランデーの香り、シロップ漬けのサクランボの甘酸っぱさ、己の好むその味を今丁度目の前で堪能する相手の反応が前向きなものであった事に思わずほっと安堵のようなものが広がった。しかしそれを素直に伝えてしまう事を良しとしない、大人と子供の境目にある小さな小さなプライドが邪魔をして、相手の感想に対して返すことが出来たのは相変わらず素っ気無い一言のみ。まだ掌の中にある袋の中から更にもうひとつ摘み出して、さくりとした食感を楽しみつつ己の選んだチョコレートと同じく甘酸っぱい風味のホワイトチョコレートを咀嚼すれば「…俺は今日の内に食い切る、多分な」と呟いて。それは"美味い、気に入った"と言う言葉の代わり、不器用なりに考えた相手からの贈り物への礼で)
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