赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>失敗アリス
(目的地も決めない散歩はただ無駄に時間を消費するだけ。いつもの自分なら苛々するはずの時間を経ても、身を清めそして降り注ぐ光を浴びていれば不思議と気分は上昇の一途をたどる。小枝を時折踏みつけるパキパキという足音だけを小さく響かせて歩いていた森の中。暗殺をも受け持ってきた経験からか何者かの気配を察すれば、太い幹を持つ木に注目。枝の上に佇む一つの黒い影に気づくが自分に向けられる殺気も、そもそも己の存在にすら気づいてない様子であれば殊更興味は湧かない。声を掛けぬまま通り過ぎようとした矢先、ちょうどその人影が眼前に降りてくれば通行の邪魔だと言わんばかりに片方の眉を上げて「――おい、」そこを退け、と続ける前に相手の方から離れて行く言動受けては咄嗟に細身の背中に手を伸ばし肩を掴む。衝動的に引き止めてしまった自分の行動に戸惑いつつ「いや。たった今、出会った。お前に。」と言葉続けては、今しがたわずかな時間ながらも見えた己と似た色を持つ瞳を今一度確認したくてこちらを振り向かせようと触れていた肩を軽く引っ張ってみる。たった数分前まではどうでもよかった相手に早くも興味を持ち始めているが故の行動であると本人は無自覚のまま)
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