赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ドードー鳥
面倒臭ぇなぁ……(気に食わないと喧しく抗議するだけのエネルギーは持ち合わせていないらしく、ぼそぼそとぼやくに留めてはいるが結局の所は不満なようだった。ちょっかいを出される事も可愛いなどと形容される事も東洋人が珍しいとされている事も、何もかもが不本意である。はあぁ、と何処までも重たいだけの息を吐きながら肩を竦める事で言葉の代わりに憂鬱以外の何物でもない今の気分を彼に伝えようと試みつつ、思いの他あっさりと引き際を見極める姿には「…そうかい」と目を細めた。己に与えられたたったひとつの名前であるはずが、その響きを耳にするのが妙に久しく感じられたような不思議な気分につい眉間に皺が寄る。名前を忘れてはいけない、以前与えられた情報によってそんな意識だけは頭の片隅に残っていたが、彼が復唱する名前にはどきりとさせられた。耳慣れぬ東洋の発音に馴染めないのか、それとも、よもや己の名前を名乗り間違えたとでも言うのか――此処に来て、この不思議の国の恐ろしい部分に直面させられたような出来事に得体の知れない不安がじっとりこみ上げ、それを直ぐにでも拭い去ってしまいたいと焦る気持ちのままに「違う、ミツだ――…ノノセ ミツ」と彼の声を訂正する。ついでに、明るい言い方に流されてしまわぬようにと外していた視線をじろりと彼の瞳へ向ければ「みーちゃんって呼ぶのは止めろよ」と先手を打つことにして。家主の居ない邸に入って良いものなのかという疑問は最早この場では役に立たず、何かあれば責任の所在はさっさと彼に押しつけてしまうつもりで後を着いていけば程なくして辿り着いたアトリエの中を一通り見回した。分野は違えど物造りに携わる誰かの部屋、何とはなしに興味は湧くと言うもので、時折作品の数々を観察するように眺めつつ「巻き込むなよ、」と悪巧みする彼の背にそう投げ掛けて)
(/と、交流の最中に背後より失礼致します…!本日そろそろ落ちなければならない時間となりましたので、ここで一度切らせて頂ければと思います。遅い時間までお相手下さいまして有難うございました…!失礼ばかりの愚息ではございますが、親切に案内してくださるドードー鳥さんに感謝感謝です。またお時間が合いましたらよろしくお願い致します。それでは、お疲れ様でした。良い夢を…!)
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