赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>オウム
__そう考えると、私は寧ろ"気取りたくて"何かを口にしていたのかも。
(自分が子供っぽいと排除していたジュースに対する相手の言葉は頑なに考えてしまっていた自身よりも余程成熟した意見に聞こえ、僅かにグラスの底に残った橙色のそれを見つめながらぽつりと呟きを漏らして。茶を嗜むのはそれが淑女として相応しいから、そんな行動理念に自らの趣向などとっくに含まれておらずそのこと自体相手の言葉を聞くまでは自覚できていなかったようで思わず呆けた様子で数度瞬きをすると、少しの躊躇を窺わせながらもそろりと空いたグラスをテーブルに戻せば「……甘くて瑞々しくて、"美味しいから"私も好き。……さっきはきちんと味わえなかったから、よければもう一杯頂けないかしら」あくまで気取りたいから飲む茶とは違い、純粋に味を好んで飲みたいと改めて口にすればおかわりを求めることに少しの気恥ずかしさを覚えつつも相手に視線を向けて。目を向けた相手が視線を注ぐのは隣に並んだぬいぐるみ、相手の言葉にそっとぬいぐるみを其方へと掲げれば「小さな獅子と書いて『小獅(シャオシー)』、こう見えてとても勇敢な私だけの騎士なのよ」寂しい夜も一人きりの外出も共にしたぬいぐるみを自慢げに紹介すればまるで手を振る様に綿の詰まった腕を揺らさせて)
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