赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>チェシャ猫
チェシャ猫……チェシャ猫ね!そっちの方が、アタシ好きだからそう呼ぶねっ!
(耳、揺れる尻尾に鋭い爪、それに色合いといい彼の名前はぴったりなもの。お伽話の登場人物がまるっきし人になったような姿に、またまた膨れ上がる疑問だが一旦それは置いておこう。慣れた浮遊感も幸福感も感じず、思考はハッキリしたまま。現実と違わぬ感覚と本能という曖昧なものは、ここは夢なんかではないなんて告げている。それが違わぬなら、疑問も好奇心もここでは飽きることなく湧き上がるだろうから考えていたらキリがない。「わかった、ありがとっ!優しいのね、チェシャ猫は。まず一つ、アタシの名前はアリスなのかな?そうなら、今よりもずっと可愛い名前。アタシにぴったり!」触っただけで折れてしまいそうな小枝のような腕をスムーズに握ることは出来ず、そっと壊れ物を扱うような手つきで触れ。いつもと同じように、薬の購入者の手を引き止めるために触れるような強い力では可愛いって言われなくなるのは上司で実証済み。結局は自らを可愛く仕立てる為の行動だが悟られぬように、小首を傾げ満面の笑みを浮かべることでそちらに彼の注意を引き。「あともう一つ!お城って、煙草やお酒、あとはそうねカジノとかあるかなぁ?」口の渇きを覚え、差し出した手とは別の方をこっそりズボンのポケットへと手を伸ばしたが、目的のものは一つもない。思い出した、病院へ行くと仕事の時は上司に煙草はおろか、お菓子や唐辛子も取り上げられてしまっていることを。いつもは、仕事前に買うからウッカリしていた。ただ、意識してしまったからには求めたくなるというのが欲で、自分の場合はそれがなきゃダメなくらい。可愛い私が口に出すような言葉ではないと分かっていても、背に腹はかえられない。なるべく自然に、必死な様子を見せないようにさっきとは反対の方へ首を傾げ、尋ね。)
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