赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>リディア
(二人の声しか聞こえない、星の煌めきだけが灯の秘密ごとは何故か終わらずに続けばいいのにと思ってしまう。抱き締めるように腕に抱く彼女を見ればその思いはより一層に熱を持ち、それが何を示しているのかを気付かぬほどの鈍感でもなかった。逃避行のようなスリリングさが吊り橋効果を齎しているのかもしれないが、そんな事はどうでも良く、今はただ二人きりになりたいと欲を持ってしまった。「重くないから驚いてる、もっと太らなきゃ駄目だよ」サボっていても多くの兵隊を纏めあげる実力者か、細身の体には確りと筋肉が乗っており抱き上げる身体がよろめく事も無く、からかいを含めながら返事を返して森を進む。普段歩き慣れる道だからか、迷うこともなく辿り着いたのは昼間とはまた違う顔を持ちライトアップされる遊園地で。流れる音楽は日中よりも幾許か控えめだが、人のいない環境は不思議と世界に二人だけと言った錯覚を持たせるのに充分で。抱き上げていた身体をそっと下ろせば「夜も綺麗なんだ、___だから、一緒に見たくなった」下ろした彼女の手を握り、その手を確りと包むようにしてエスコートの如く手を引き歩みを進め、静かで落ち着いた薔薇庭園も好きだが、矢張り自分は明るく華やかなこの空間が好きなのだ。「此処が俺の一番好きな場所だから」好きな物を紹介するのに連れ回す日が来るとは思っておらず、「初めてだよ、アリスをこんな夜中に連れ回すの」ふ、と小さく笑を落としながらそれでも明るいのにもの寂しいアンバランスさがセンチメンタルにさせるこの空間を紹介出来たことを喜ぶように告げて)
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