赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>トゥイードルディー
――― … いーよ。損をするのがアリスでも。だからね、ふふ、此の侭誰も居ない彼方まで一緒に逃げちゃおっか ( 確証の無い言葉ばかりの約束でも、それが嘘ではないと真摯な瞳は物語る。その後に続いた軽い笑い方と現実を突きつける文字の羅列が今の言葉の真偽をあやふやにしても、結末なんて考える暇もないほど今が楽しければ構わない。一時的な好意も、口先だけの証明も全ては此の瞬間を彩るための必要経費。しい、と彼の唇に人差し指を乗せれば、何処までも軽い声で自身でも本気か冗談か判別出来ない誘いを持ち掛けて。紳士で居られないのならそうすればいい。狼が嫌いだなんて一言も告げていないのに、自分自身の言葉で欲に制御を掛ける彼は " 大人の中の大人 " であると褒めるべきか。それとも、今だけは大人のフリをしないでと諫めるべきか。今にも蓋を突き破りどろりとあふれ出してしまいそうな名も知らない感情を必死に押さえつけていれば、視界の外で髪に触れたものを合図にして彼が計画を口にした。その甘美な響きといえば、まるで愛を受け取ったときのようで。程無くして動き出した計画に否定などするはずもなく、「 リディを誘拐するんだもん、うんと素敵なところに連れて行ってくれなきゃヤだよ、誘拐犯さん 」 なんてまたいつもの調子に戻り楽しんで。「 ねえねえ、重くない?疲れたりしない? 」 序に嬉しいよりも恥ずかしいが勝る今の体勢について、彼の髪に触れながら 聞いてみようか。 )
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