赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>眠り鼠
(女王陛下、というのはあの城に居るのだろうか。三月兎は分からないけれど、こののんびり屋な鼠がきっぱりとそう言うのなら是非とも会ってみたい。ただそんな事を考えていただけで、その中に自分の名前が入っていることなど気がついてすらいなかったのに。付け足された言葉は、自分が美人ではないと言われたのみならず、やはり他の人たちとは違う表現をする、あのむず痒い言葉だった。「もう、ばか! そんなに焦ってフォローされても嬉しくないわよ! お口チャック!」照れ隠しも込めて、相手が珍しく声を大きくしたのを更にかき消すような音量で言うと、片手に化粧道具を抱え、空いている手で自分の口にチャックをするような仕草をして見せて。それから、申し訳ないと思っているこちらの気持ちなど全く知らない相手がどんどん持ってくる化粧品を見てぎょっと目を丸くし。「ちょ、ちょっと! 私こんなの使わな……なに、これ」普段自分が使わないような色の可愛らしいアイテムが並ぶと、それらを元の場所へ戻すように言おうとしたところで、最後に差し出された小瓶の美しさに目を奪われた。「オーロラ……? 要するに、ラメってことかしら。綺麗……」化粧に重ねるラメはこれまでも見たことがあったけれど、こんなに美しい輝きと透明感を持つ物は初めてだった。うっとりと見惚れるように眺めていると、相手が帽子を脱ぐ動きでハッと意識を取り戻すように瞬きを。「ああ、もう。髪がぐしゃぐしゃじゃないの」確かに、追加された物を含めると両手から溢れてしまいそうな数になった化粧品を、差し出された帽子へそっとしまい込む。それから、のんびりと自分のことのように頬を綻ばせる相手へ視線を向けると、帽子を取ったまま乱れている髪を見ては 仕方がない と呆れたような笑みを浮かべ。「ほら、せっかく綺麗な色の髪してるんだから、ちゃんと整えなさいよ」と、そっと相手の頭へ腕を伸ばし)
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