赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>蜥蜴のビル
(先程まで物腰柔らかな人の側にいたせいだろうか意地悪な言葉がなんだか懐かしく耳に響き、謝るその口は僅かに弧をえがこう。部屋に足を踏み入れた瞬間目に入ったのは壁に貼られたウォールステッカーで、観葉植物の配置もまたにくらしい。上を見上げるとライトまでもが様相を変え、簡素といわず寒々しさのあった室内が何とも賑やかなものへ変わっており。テイストは違えどそれはまさしく彼の部屋と同じ人の温かみが感じられるもので、もはや感嘆の声も上がらずただただぼうっと突っ立って食い入るように室内を眺め。あまりの変貌ぶりに圧倒されてしまったせいで喜びは遅れてやってきて、これがあたしの部屋になるんだとじわじわ実感すれば、気を付けてと注意された紙袋などすっかり意識外に追いやられ、ばっと乱暴に振り返ると困り眉をすっかり垂れさせ「ありがとう…!」感無量、といった風に礼を口にし。)
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