赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>眠り鼠
(媚びることもなく、説教染みたことを言うわけでもなく、ただのんびりと自分のペースを崩さない相手の反応はとても新鮮だった。ふにふにと頬を摘まむのだって攻撃のつもりだったのに、相手の柔らかな笑みでそれはただの戯れに変わってしまう。かと思えば、相手のことなど一切考えずに力一杯暴れてみても、自分を支える手を離すことも、一緒に倒れてしまうこともない頼もしさも見せてくれた。化粧品と服があるという言葉を聞けばピタリと動きを止め、腕の力を緩める。「仕立て屋? 洋服を作ってる人ってこと? 行きたい!」自分にとって必要なものが揃っているのみならず、まさかデザイナーに会う機会が訪れるだなんて。キラキラと目を輝かせながら大きく頷くと、相手の腕の上で跳ねるように体を揺らし。「ふふ。アンタの紅茶も飲んであげる。うーんと美味しく淹れなさいよね」懸命にさまざまなアイディアを挙げてくれる相手の様子が微笑ましくてつい頬を綻ばせながら、小さい子供を よくできました と褒めるように、帽子越しの相手の頭をぽんぽんと撫でてやり)
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