赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>帽子屋
(直ぐに答えが貰えず、ただ此方を見つめてくるだけの相手に少しばかり気まずさを覚えて視線を逸らし。その後弾けるような笑い声に刹那目を丸くすると、続けて指摘された言葉にむず痒そうにしながら視線を戻した。「貴方が、雇ってくれるのか。それは話が早くて助かる」思ってみなかった話に、ほんの僅かに声のトーンが高くなる。直後、背筋を伸ばすことができるなら、という条件を加えられていたことに気が付き、普段すっかり脱力してしまっている背の骨に力を入れて胸を張り。「歩くのは問題無い。…ただ、背中を伸ばすのは仕事場に着いてからでも構わないか」普段慣れない姿勢は、普段使わない力を使う。早くもピクピクと揺れてきた右肩を左手で押さえながら、情けない声で一つ尋ね。「着るだけで良いなら大丈夫…だろう。針を使えと言われたら、布に血が付きかねない」説明された仕事内容を頭の中で反芻させるように天井を仰ぐと、こくりと頷き。服を作る方であれば、逆に金を払わなければいけなかったかもしれない。だが着るだけなら…と、今僅かに姿勢の苦痛さを感じている一点だけ不安に思いつつ、「よろしく頼む」と頭を下げ)
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