赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>失敗アリス
( 伸ばした手の触れた指先から伝わる歪な温度に、やっぱり冷えているんじゃないかと、じとり、と見やるが、反射的に後退した彼の引き攣った呼吸音にああ、触れてはいけなかったのだと静かに手を引き反省する。段々と覚醒に向かっていく脳は彼の示した方角へ顔を向けて目を凝らしてみると、ぼんやりとしかわからないそれに日が沈み始めているこの状況を考えれば先程の二の舞になるのは容易に予想できた。案内できないという目の前の人は温度を感じさせないことから、意地悪をしようとして言っているのではないと判断し、又、どこか訳ありな言い回しに口が開きかけてすぐに閉ざした。周りに一瞥をくれ、沈黙に静まる空気にすっかり微睡み気分から解放された意識は居心地悪そうに足をすり合わせた。正直、迷子になる予感が濃厚だ、サーカス小屋まで凍えた足が動くかも怪しい。悶々とした考えが渦巻いていると、重たい沈黙を破ったのは目の前の人で。言っていることこそ突き放すようで冷たいが、要するに部屋を貸してくれるというのだ。それは迷子にもならないし、ほんのすぐ先なのだから足も叱咤すれば動くというものだ。目に見えて表情を変えると、「…きみのところがいい。」と答え。暫く同じ体制でいたからか、がちがちに固まった足を動かし、木を支えに立ち上がって、 )
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