赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ドードー鳥
…名前――、(まず初めに告げられた条件のひとつを耳にした時、不思議の国へ迷い込んだ時初めて出会った人物の言葉を思い出した。そうだ、彼もまた同じ事を言っていた。幸いにもまだ此処へ来て日の浅い己はたったひとつの名を覚えてはいるが、彼の言葉が正しいのなら恐らくこれから日毎に薄まっていく記憶の中ではそれもどうなってしまうか分からない。何とも皮肉な話である。不思議の国での己は"アリス"、此処ではある意味蔑ろにされてしまうと言っても過言では無い本当の名こそが、元の場所へ帰る最後の望みになると言うのだから。一先ず最後まで口を挟む事なく彼の答えに耳を傾けていたが、思った通り帰りたいと願った所でおいそれと帰してくれる場所ではないようだ。人は質問をする時既にその答えを自分の中で決めているとは言うが、全くその通りだ。確りと己を見据える眼差しに晒される居心地の悪さにそろりと視線は床の上へと逸れ、少しずつ微温くなってきた紅茶を一口喉へ流し込めば「不思議って言葉を盾にしただけの…つくづく身勝手な仕組みだな」とぼやく。ぼやいてはいるが、結局必死になって帰る為の手段を探す程のエネルギーは無いのである。帰りたいと言う意思よりも、諦めの気持ちの方がずっと強い。ティーカップと入れ替わりに、テーブルの上においていたオルゴールを手に取ればそれを掌の中で弄びつつ逸らしていた視線をちらと彼の方へ戻して「独りで居る方が楽。外に出たら、誰かと会わなきゃならない………苦手なんだ、誰かと過ごすのは」と素直に明かした上で「ま…籠ってても押し掛けて来る連中も居るけどな、アンタみたいに」そんな風に付け加えては溜息を吐き)
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