赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>白兎
(作業の音だけが淡々と響く室内、案外手元の作業に集中しているように見えたが実際頭の中では全く別の事を考えている。空に浮かぶ雲の形、夜空に煌く星の形、一面に咲く花の形。時折それらを切り絵のように作っては細かく切り刻み、また形を作っては切り刻み…その繰り返しを楽しむ事が出来るからこそ、沈黙にも負けることなく作業を続けられていたようで。ゆら、ゆら、と両足を揺らす姿はそれこそ鼻歌でも歌いだしそうな様子だったが、ふと静かな室内に響くノックの音に反応すれば扉の方へと顔を向け。音の主が誰か、そしてその用件が何かを知った瞬間に「わっ。」と嬉しそうな声が零れるのを抑えきれなかった。視線は手元からショートケーキへと流れ、よく熟れた苺の赤に惹かれるままじっと見つめていたその最中に投げ掛けられた応援の声には「Merci.」とお礼を言ってウインクを。心のどこかで相手がそう言ってくれるのではないかと言う淡い期待を抱いていた分、休憩を促す声が聞こえると「うん、そうする。苺が早く食べて欲しそうにしてるンだ。」と残りの束を刻む手を少しだけ急がせて。キリの良い所で机の上に鋏を置けば今度こそ目の前のショートケーキに向き合い、フォークの先に突き刺した苺をぱくりと頬張ってから相手の方へ顔を向けると「Non.(いいえ)」とあっさり。口の中の苺を咀嚼しつつ、休憩中でも凛とした姿のままの相手をじっと見詰めて「白兎はいつもお仕事ばかりしてるって聞いたから、どんな事してるのか知りたかったンだ。」と素直に答えて。)
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