赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>一輪
(憐れむ程に骨のような身体付きから勝手に大人しい人物だと決めつけていた印象は、舌の根も乾かない数秒後に違っていたと教えられる。恰も現状とは妄想の一つとでも言い兼ねない雰囲気にて毟り取るように勢いよく手から離れて、あっと言う間に彼の口へ姿を消した菓子に先ずは圧倒されて瞬きを一つ。そして手の多い住人は知っているが手の少ない住人とは見たことが無い、彼の方から先には一つそれが足りていなかった。一度眼を伏せてから再び確りと開いて見せ、今度は景気よくと彼の頭へ腕を伸ばしワシャワシャと数回撫でまわし「生憎、アタシはアンタと心中する気はサラサラ無いよ。__そんなにお腹が空いてるならその腹が破裂するくらい食べさせてあげる。おいで、ついて来な」城に連れて行くのが良いか、我が邸に連れて帰るのが良いか、そんな迷いは食いっぷりのいい先の様子から決定に変わり。城に連れて行けば食事をとるまでに時間が掛かるかもしれないが、我が家であれば年がら年中お茶会が開かれているのだ、食べ物で困ることは無い。「でもねタダじゃ食べさせないよ。ほら、これ持って」持っていたバスケットをやれ都合がいいと待たせれば「アンタは此処じゃない何処かから来たでしょ、何処かから来たコが呼ばれる名前がアリス。アンタはね、この国を滑る女王陛下の候補として選ばれて此処に来た」歩みを進ませては時折彼が薔薇の悪戯にて隠されてしまわないように注意を行い、案の定薔薇を食べてしまったことがきっかけとして怒る薔薇が突っ突くようにちょっかいを向けてくれば「今来たばかりなの、ちゃんと聞かせるから許して頂戴」と先に詫びる言葉を赤赤とした薔薇に送り。渋々と言った様子がひしひしと伝わる動きで薔薇が道を開くのを見て「何食べても良いけど、これは駄目。閉じ込められるよ」長めの爪をちっち、と右左に揺らし薔薇への注意を。「――アンタ、食事はたんまり当たるけど規則正しい生活をする城での生活と、ご馳走は食べれないけど城より自由のウチでの生活と、どっちが良いか考えといて」未だ会って短いが、彼は城での生活にあまり向いていなさそうに思えてしまう。如何せん、あそこには規則だルールだと口煩い住人が多いのだから。その思いより森を進む最中にて頭に入れるべく先に伝えて)
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