赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>トゥイードルディー
( 庭園から見上げた城に見える明りの数からして此の時間に起きている人はそう多くないだろう。爛々と光る月明かりがあるために夜の外を出歩くのは怖くはないが、出会う人に諫められては面白くないのも確か。だからこそ出会っても怒っては来なさそうな彼が一層待ち遠しくなるのだがタイミングよく現れるなど考えてもみず、もう少しだけ薔薇の香りを堪能してから部屋に戻ろうと決意したときだった。溢した呟きが拾われたかと思えば聞き慣れたアリスの三文字が間を空けず綴られる。振り向くと見える姿は正しくたった今望んでいた彼の身形をしており驚愕すると同時に表情に喜色が広がり、「 ふふっ、悪い子はお嫌い? 」夜に出歩くことを咎める気の無さそうな相手の口振りに想像した通りだと笑み零しつつ、近付く足取りを見つめながら軽口を返して。「 貴方はどうして此処に来てたの?お家、向こうだよねぇ?」 彼の家である屋敷はお城から近くも無ければ遠くも無かったはず。なればこそ、わざわざ此の庭園に足を運んだ理由が気にかかると、お城の向こうに生い茂る森の木々たちを一瞥してから躊躇いなく尋ね掛け。 )
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