赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ユニコーン
(己の寝顔を、その無防備さを目の当たりにした相手がどんな事をその脳裏に浮かべていたか。寝惚けたままの頭がそれを知る事は無い。くあ、と口を大きく開けて欠伸を零せばぼやぼやとまだ虚ろなままの瞳に薄らと涙の膜が張る。気を抜けば、このままもう一眠りしてしまいそうな勢いである。水面の上でプカプカと顔を出しては沈んでと繰り返す小さな浮きのように、微睡みと隣り合わせの危うい意識を何とか覚醒まで引っ張り上げたのはこめかみに触れる硬い角の感触で。今度こそしっかりと目覚めたのを確かめるように瞬きを数度、「…あと3日戻らなかったら忘れてたかもな」と冗談なのか本気なのか些か判別の付きにくい淡々とした声に乗せて相手の軽口に答える。本来昼寝には適さない姿勢で眠っていただけに、何だか腰の辺りが軋むような鈍い痛みを感じて眉を寄せつつのろりと気だるげに立ち上がった。長めの前髪をくしゃりと掴んでかきあげつつ改めて相手と視線を合わせれば「迷った。帰れそうもねぇから、寝てた。」とこんな場所で昼寝を楽しんでいた本当の理由を特に隠すでもなく素直に白状し、じっと相手を見詰める眼差しは"だから何とかしろ"とでも言わんばかりで)
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