赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>ライオン
(肩を竦める相手の言葉に返したのが言葉ではなく無言の相槌であったのは、もう一人の同居人である彼がこの塔に居ないと言う事態が決して珍しい事ではなく寧ろ有り触れた日常の一コマであるからこそ。此方の意識はと言うと、そんな風にいつも通り此処に居ない彼よりも今は目の前の相手が持ち帰ってきた夕食へと向けられているらしい。献立を尋ねた先の言葉への返事を催促するようにじっと相手を見詰めていたふたつの目は、ミネストローネとハンバーグと言う何とも魅力的な献立を答えるその声を聞くなり満足したと言わんばかりにひとつ瞬いた。ごく自然に持ちかけられたのは夕食の誘い、丁度腹も空いてくる頃合である。あまりせっせと手伝いに励むような性分ではなかったが、味の良さがほぼ確定している夕食にありつく瞬間を前にもたつくようなこともなく、分かったと言う返事の代わりに後ろ手に部屋の扉を閉めながら外へ出た。心の何処かで、相手が己の半日分の過ごし方を尋ねて来ないことを期待していたのかも知れない。その証拠に、嫌な予感は的中とばかり早速飛んできた質問に「…遊園地」と短い答えの後、「菓子売ってるって言うから、着いて行った」と取りあえずは当たり障りなく正直に答えながら階段を上っていき)
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