アリスは憂鬱な夢を視る（　半無登録　/　NBL　/　提供おじさん　）

>ムカデさん


( 落ち着いた、もっと正確に言えば表情の変わらない彼を眺めていると、その表情を変えてみたいといったある種の征服欲が湧いてくる。それは勿論彼に限った話ではないけれど、いつだったか澄ました女の余裕を崩したくなると恍惚に浸りながら告げていた誰かの言葉がこのような形で理解できるとは想像だにしておらず。ただ、顔を合わせて一時間にも満たない彼の僅かな変化を察知できるかはさておき。お城に向かうと確認を取る様に告げられては文句など無く二度ほど頷き。お城に戻れた暁にはお茶をご一緒出来ればいいなと下心に思いを馳せていれば不意に取られた手に目を瞬かせ。「 これじゃあ、まるでパパと娘ね 」はぐれ無いように繋がれた手に視線を落とすと眉を下げて肩を竦め。もぞもぞと手を動かせば、骨ばった指の間に自分のそれをするりと潜らせ絡め取って。「 こっちの方がリディは好き 」 と見せつけるように繋がれた手を持ち上げ軽く揺らせば悪戯っぽく笑んで。 「 んふふ、私のこと見付けてくれてありがとーね ？ でね、何かお礼をしたいんだけど … 」 彼の呟きのようなそれには数度頷いて同意を示し。例え偶然でも馬鹿げた独り言を流さず拾ってくれた相手は大きく見れば命の恩人とも呼ぶべきで。なればこそ、礼を告げる以上のことをしなければならないと使命感に駆られては 「 リディにできることなら何でもするよ 」 と誘惑するように自身の唇を舌でなぞり、 )