赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>悪魔
(憂鬱、その二文字を形にした様な一日が今日も始まった。城のメイドがよく世話を焼いてくれるものだから、重度の引き篭り体質であるこの男はすっかり外出する意欲を手放したまま、無気力無関心にただただ時間が過ぎるのを待つのみ。この日も恐らくは例外ではなく、また同じようにして日が暮れてゆくのだろう――そんな思いで、つい先程メイドが部屋まで運んで来てくれたフィナンシェを摘んでいた。頬杖をつくテーブルの上には、一冊のスケッチブックと鉛筆が一本そして消しゴムがひとつ。ぼんやりと、大好きなオルゴールの外箱のデザインを頭に浮かべながらそれを絵にしてゆく作業、唯一の暇潰しと言えたそれにもとうとう飽きがきたらしい。こんな日にまさか来客があるなどとは思っておらず、ただ憂鬱さの中へずぶずぶと沈み込んでゆく意識はノックの音と彼の声によって、突如浮上を余儀なくされた。正直、出て行きたくないのはやまやまである…が、いい加減にこの部屋の景色にもうんざりしているのもまた事実。のそりと重い腰を上げて近付いた部屋の扉、ガチャリとドアノブを回して開くなりノックの音と呼び掛けの声の主をじろりと睨みつけては「……何だよ」と低い声が尋ね)
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