赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>人魚さん
( 手に乗っていたサンゴが一斉に消えると微かな喪失感に見舞われる。が、それも何処か鋭い忠告の声に掻き消されては素直に頷いてから、手を振って見送る間もなく見る見るうちに小さくなっていく人影に瞠目し。人魚はあんなにも早く水中を泳げるとは、これはまた幻想的な面に関する知識が増えたと密やかに喜んで。帰ってくるうちにまた少しでも集められたら、と目に見える範囲にある形の綺麗な貝殻を手を伸ばして拾ったところで水をかき分け戻ってきた彼に思わず目を丸くし。家が近いのか人魚が早いのか、それとも急いでくれたのか。膨らむ想像に丸くなった瞳を戻しつつ。 「 …… えっと、… リディにこれをくれる、の? 」 世界、先程呟いた言葉を用いて彼が何を言おうとしているのかは簡単に気が付き。しかし余りにも突飛で魅力的な、一種の罠のような甘言に信じられないと声色までもが驚愕に色づき。帰ったついで、何となく目に入った、お手伝いのお礼。思いつく理由は数多とあれど、そのどれであっても浮つく気持ちは変わりなく。「 … 嬉しい … ! ふふ、どうしよう、こんなに嬉しいのは久し振りかも … ! 今なら空だって飛べちゃいそう、! 」手を広げれば其処にある指輪に一つ口づけを落とせば、口に当てたまま彼を見上げて " ずっと大切にするね、 " と誓いの言葉を口ずさみ。消えてしまわないように手中に収めて胸元に寄せれば止め処なく溢れてくる笑みを抑えることなく、にこにこ。「 そーお? んふふ、じゃあ、そうやって更にリディを褒めてくれる人魚さんは更に褒め上手だねぇ 」 そう云いながらご機嫌な気分のまま空いた片手でサンゴを拾い上げたのはいいものの、はたと片手が塞がっていることに気が付けばどうしたものかとまた首傾けて。「 ねえねえ、人魚さん。人魚さんの片手、借りてもいーい? 」 拾ったサンゴの先を摘まみながら軽く揺らしては、もう片方は意地でも空けないつもりで。 )
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