赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>チェシャ猫
…っ、おい――(すっかり油断していた。庭で会った時から彼は己の髪に興味を持っていたと言う事をすっかり失念していたのだ。一度は阻止した彼の手も今回は取り逃がし、その結果ふんわりと柔らかな質感の髪にまんまと触れられてしまった。遅ればせながら叱咤の声を上げようとするももう遅い、咎めるべき彼の手は既に引かれてしまっている。"この野郎"とでも言いたげな眼差しでジロリと彼を睨んで見せたが、内心は怒りの感情よりも撫でられた事への動揺の方が数倍大きい。ばくばくと力強く脈を打つ心臓の存在を悟られない様に虚勢を張ろうとしていたが、不意に目の前へ現れた紫色に小さく眉が上がった。己とは違う硬い質感よりも、寧ろ鮮やかなその色彩に気を取られている。序でに言えば、頭の上に顔を出すその耳にもだ。「…すげぇ色…」素直な感想をぽつりと呟きつつ、無意識の内、ひょこひょこと動くその耳に触れようと伸びかけていた己の手に気が付けばきゅ、と唇を結びながら引っ込める。何事も無かったかの様に椅子に座り直してふい、と彼から視線を外すと「優しかねぇよ…俺は。」捻くれ者故に彼の言葉を素直に受け取れず、行き場を見失った視線を天井へと向けながら答えて。)
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