赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
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>チェシャ猫
(孤独は決して苦にならない、人を突き放す事も辛くはない。それでも時折こうして歩み寄って来ようとする相手を目の前にすると、何だかむず痒い様なそわそわと落ち着かない様な複雑な気持ちになる。そして今この場で彼が察した様に、何だかんだと押しに弱い。結局の所それこそが、真に他者との関わりを拒んでいるのではなく、人一倍それが苦手である為につい逃げ出そうとしまうに過ぎないのだと言うこの男の根本を物語っていた。宛らヤマアラシの様な男である。近付こうとするものを傷付けずにはいられない、かと言って近付こうとしても傷つけてしまうのだ。とは言え、彼の様に程良い距離をはかる能力に長けた相手となるとそんなジレンマも多少和らぐ。その証拠に、あまりに分かり易く喜びを表現する彼の表情からつい目を逸らしはしたものの、それ以上の悪態は吐かずに無言の返事をするに留めた。掌のオルゴールは、己が初めてこの手で造り上げた物。時折僅かに不安定になるテンポ、微かな歪みを残す音、まだまだ未熟な作品だが思い入れがある。だからこそ常に持ち歩くそれに前向きな感想をもたれるとどうしたって悪い気はしなかったが「まだ未熟だ、この音は。」とそれは照れ隠しの言葉の裏に隠れて。)
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