2017-10-07 08:38:48 |
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>93 の 続き / 出会い .
_ 俺はまた、寝ていたのか。
( 眠らされてから何日経ったのか。分からないままでまた、ベッドで目を覚ますと見慣れたコンクリートの天井に色々な機材を横目に遣り、慣れた手付きで己の体を起こしては点滴を外して上記をぼそりと呟き。前回起きた時はどれくらい己に体力があって動けるのかが分からなかったが、今回は違う。先ずは己の手を確認したりベッド脇に置いてあるテーブルの上の鏡を手に取って、自分自身の姿をチェックした。それは今まで見た事もない姿で初めは言葉を失ったけれど、次第に己の変わった顔にも慣れたのと、どうしようもない諦めから今の真実を受け入れるしかなくて無理矢理感情を押し込め。「 ─ これが俺だ。 」と、言い聞かせながら持っていた鏡をそっと伏せてもう姿を見ないようにした。誰しもが直ぐに受け入れられる訳じゃないその姿、形はやはり本当に受け入れるには時間が必要で己は何も考えない様にしつつ、ゆっくりと慎重にベッドへと腰を下ろした状態に座り。いきなり立つのではなく、座りながら何度も何度も足の感覚を確かめたり踏ん張っては歩く練習などをして見る。すると、徐々に己の体の感覚を掴み始め、漸く何かに掴まりながらだが少し歩ける様になった所で部屋の扉が開く音がし、体ごとは向けないので顔だけを音のした方向へと向けて誰が来たのかをただ見詰めて。見詰めた先に居たのは前回寝る前に見た医者の一人で、鮮明には思い出せないものの、薄ら覚えている容姿と長い白衣。それとその医者独特の香水の様な少し甘ったるい臭いが鼻を刺激し、思い出したくもないのに取り押さえられてはまたベッドに寝かされる記憶が蘇ってくる。味わった事もない不快感に見舞われていると、コツコツと足音を鳴らして近付いてくる医者が口を開き『 気分はどうだい? 』なんて明るくも暗くもない平坦な声で己へと問い掛けてくるが、述べられる言葉など決まっていて「 良いように見えるかよ 」と、目線を外しながら発し、覚束無い足取りで自らも接近して相手の様子を伺い )
謎のDr.
_ そうか。元気そうでなによりだ。
( そろそろ相手の様子を見に行こうとカルテを片手に病室という名の実験室へ足を運び、重く閉ざされた扉に手を掛け、部屋の中に入ろうとすると既に目を覚まして起き上がっている相手が目に入り。治療器具以外には何も置いていない無機質なこの空間に佇む相手 ( 怪物 ) はまだ万全ではないようで、覚束無いその足取りから見てあと少し時間を掛ければ体力も回復して、普通に走り回る事も出来るであろう事が分かる。しかし、そうなる前に来れて実にラッキーだと思った。相手の大きな体格とその力には凡人である己などゴミの様であり、覚醒されてしまったら捕らえる事も止める事も出来ない本当の怪物になってしまうからで。会話は出来るが、体はまだ万全ではない今の状況は己にとっては好都合であり、口角を少し上げ薄らと笑を浮かべながら上記を言い返し。何はともあれ、この機会を逃したら二度とチャンスは来ないだろうと、期待を胸に抱き近付いた相手を見上げ、外見の確認をしては「 ..見た感じでは異常はなし 」ブツブツと独り言を口にしつつ持っていたカルテを開き、チェック項目に赤ペンで印を付けて。次に相手の体調などを見たいと思ったのだけれど、素っ気ない態度を取られてしまい、どうしたものかなと少々眉を寄せて考え。まぁ、急用って訳でもないし、一度椅子に腰を下ろして貰ってからちゃんと段階を踏んで聞こうかと思った矢先に相手から質問の嵐を受け「 ちょ、ちょっと待った。話すから一旦落ち着いてくれ 」そう述べながら手でストップの動きをさて見せ。慌て過ぎたと反省をしてくれたのか、荒らげていた息を整える様に肩を上下させて何度か深呼吸してくれた相手は、やっと話せるくらいに戻り。ベッドの近くにある丸い転がる椅子をカラカラと己と相手の前に一つずつ持って来てはその一つに腰掛け、片手を出して君も腰掛けてと言うような仕草をして )
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