遥 2017-09-27 19:06:17 |
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【 小鳥遊 紗雪 】
( 病院から電話があり、自分について聞いたのであろう事は視線の強さからも窺える。嗚呼、やっぱり怒ってらっしゃる。なんて他人事に考えてしまうのはこれが初めてではないからで。へらり、と浮かべた笑顔はそのままに上司の座るデスクにゆったりとした足取りで近寄れば、『 お久し振り、ですかね?降谷先輩。 』なんて更に神経を逆撫でする様な言葉をぽつり。
「 っんの阿呆...! 」なんて同僚からの言葉を聞き流し、目の前の上司を見据えてみる。うん!素晴らしいくらいの怒り具合。なんて心の中で巫山戯てないとやっていられない。今回の件は間違い無く不可抗力であり、オフの日にたまたま銀行強盗に出会してしまっただけである。人質になってしまったことも、隙を突いて犯人を拘束したことも、それに驚いて腹を撃ち抜かれたことも、全くもって想像していなかった事。ワタシワルクナイ、なんてスタンスで居ればそろり、と上司である風見が視線を逸らした事に気付き。──あ、私売られたわ。
何より、そこまで酷くもない怪我だと言うのに何故般若の様になるのか。首の切創は既に瘡蓋になっているし、腹部も表向きは塞がっている。傷付いた臓器も殆ど完治していると言っていいし、一つだけ言うとすれば腹部に残る傷跡がまだ痛々しい形容をしているくらい。激しく動けば縫った所が裂けて出血する可能性も無いとは言えないが、だからと言って喃喃と休んでいられる程大人しい性格はしていないつもりだ。
結果論を言えば民間人に怪我は無かったし、自分一人の怪我だけで何とかなったのであれば万々歳ではないだろうか。同僚の呟きの後、静まり返ってしまったオフィスを見渡しては此方を鬼の形相で睨み付ける上司に視線を戻し、頬を数度掻いた後『 降谷せーんぱい? 』なんて再び問い掛けてみて。 )
【 安室 透( 降谷 零 ) 】
( ──今日は随分と長い微睡みの中に居た様な気がする。バーボンとして組織の任務も無く、降谷零として公安の仕事も無い。安室透としての予定も無くポアロのシフトも入っていない、そんな完全休日のある日。トリプルフェイスを使い分け、日々激務に追われる己は深い眠りに落ちることはまず無い。突然公安としての仕事が入ることも、逆に組織の任務が入ることも有り得る為常に気を張っている。辛い、疲れたなんて言葉が其所に無いのは確固たる信念があるからで。
『 ん...、 』久々に潜り込んだ自分のベッドは自分を深い眠りへと誘ってくれる。このまま、何もかも忘れて眠ってしまいたくなる。明晰夢の中、そんな考えが浮かんでは消えて行くのを感じ。変な虚しさの様な気持ち悪さが胸中を蠢く感覚にぎゅう、と掛け布団を握り締めた時。突然頭の上から掛けられた言葉に意識が急に浮上して。
『 ッ誰だ───!! 』その言葉と共に飛び起き、目の前に居た自分より小さな影の肩を掴む。そのまま相手がうつ伏せになる様ベッドに押し付け、ギリッと力を込め。覚醒した、それでいて未だぼんやりとした相反する脳で『 ッ何処から入った! 』と怒鳴る様に言葉を投げ掛ければ。ドクドクと脈打つ心臓とは裏腹に、目下に広がる長く黒い糸の塊を見、───女?と訝しげな表情を浮かべ。既視感のある色に拘束していた力が少しばかり緩む。っは、と短く吐息を零してはジッと相手を見据え。 )
(/女神だなんてとんでもない...!
全然大丈夫ですよ!寧ろ推敲に時間がかかってしまい申し訳ないです...。此方こそ絡みづらい、もう少しこうして欲しいなんて要望がありましたら遠慮無く仰って下さい!)
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