静寂 2017-08-19 12:00:00 |
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( 長文練習。 )
…神様を殺したのは俺だから。
( 頬を撫でる冷たい風が心地いい季節を集めたような日。屋上から見下ろす世界は何時も以上にちっぽけに見え、自分がすがっていた物の小ささを再確認し、項垂れてしまうのはきっと己が未だに子供だという事実の現れなのだろう。視線をあげれば空の大多数を占めるように腕を広げる月が視界を焼き、徐々に近づく終焉が本物であることを嫌でも痛感させられて。そう、一寸した冗談のつもりだったのだ、彼女にフラれ、成績も伸び悩んでいた俺は、つい先日最も口にしてはいけない言葉を吐き出してしまった。世界など終わってしまえばいいという普通の人からしたら下らない様な願い。しかし、その言葉は俺が吐くことで意味を強く持ってしまう。言霊が、俺の持つ言葉の力があっけなく世界を壊すだなんて誰が予想しただろう、泣いて悔やんでも取り戻せない後悔に吐き出せたのはたった一言で。それならばいっそ自分が死んでしまえば無かったことになるのではないか、という現実逃避に屋上のフェンスを跨ぎ。時おり強く吹く風に飛ばされぬよう力強く地面を踏めば、はらはらと頬を滑るように溢れていく涙に思わず笑って。どうか自分以外の人間の見ている先が世界の終焉ではありませんように、何て最後の願い口にしては全体重を前にかけ、ふわりと一瞬訪れた浮遊感に全て任せたり、 )
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