躑躅 2017-07-01 16:50:17 |
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調理場の家政婦に篭を貰い庭へと出ていく。
一つ、二つ ――…。
小さなベリーを篭いっぱいにするのは幼いアルトにとって、決して容易い事では無い。
『父様と伯父様はいつもどんなお話をしているのかな?』
怒られても怖くても、子供故の好奇心は容易に抑えられはしない。庭から見て一階の左から三番目の窓、其処に父と伯父が居る。
『またお仕事なのかな…。』
またベリーを一つ、二つと篭に入れてはつまらなさそうに唇を尖らせる。その表情に先程の明るさや奇妙な自尊は感じられず、ただ年相応に寂しげに眉を下げた幼い少年が其処に居た。
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