躑躅 2017-07-01 16:50:17 |
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アルトとジョージの居た部屋が何処か弾むかの様に勢い良く開かれた。
「ジョージ!おっと、アルトも居たのか。」
少しばかり地面が響く様な錯覚を起こす豪快な声の正体、それはあまりアルトには好ましくない存在。
『何だとは何さ。バルヒ家の天才、アルト・バルヒ様だぞ。もうお仕事なの?…伯父様。』
ジョイナー・フェルス。ジョージ・バルヒの兄でアルトの伯父である。彼が来ると決まって父は海の向こう、遥かに離れた所に仕事に出てしまう。故に伯父の来訪はアルトをただただつまらなく、ただただ寂しい気持ちにさせるのだ。
少し膨れっ面で強気に返すのが、アルトの小さな小さな反抗である。
「アルト。ジョイナーと話す事があるんだが…良ければ庭から夕食用にベリーを沢山集めて来ておくれ。」
『――ッ……はーい。』
ジョイナーが来ると決まってジョージはアルトを表に出す、しかも外にだ。先月、不服が募り立ち聞きしようとしていたら容易く気付かれた。その時の父の顔は他の何よりも怖かった。
アルトは渋々外にあるベリーの木に向かった。
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