主 2017-06-11 17:34:14 |
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世界観
悪の魔女は屋敷から少し近い小さな町によく足を運んで居ました。老婆、若い踊り子、時には野良猫と姿を変えて。
彼女はいつも悪巧みをします、それが彼女にとっての最高の喜びだったからです。その日も彼女は悪巧みを考え、とある小さな花屋へと出向いたのです。
花屋の彼は決して裕福ではありませんでした。病気の母も他界し一人で花屋を切り盛りしていたのです。勿論繁盛しているわけでもありませんでしたが彼には沢山のお得意様と街の人々が居ましたから彼はとても幸せでした。彼の前に現れたのはとても美しい女性でした。誰が見ても美しいその女性は彼にこう言います「この花屋を下さい。そうすれば貴方は裕福になれます。」と。しかし彼は断固として首を縦に振ることはありませんでした。
彼女はイラついていました。どんな男性も一目自分を見れば首を横に振る者は居ないのですから。彼女は何度も花屋に出向きますが彼は一向に承認する気配がありません。彼女は魔法で殺そうと思いましたがそれは出来ませんでした。それは彼が唯一の話し相手だったからです。彼は次第に彼女に質問をする様になりました。「何処に住んでいる、どんな名前、どんな物が好き。」と。彼女に彼の意図は理解出来ませんでしたが彼女はそんな他愛もない会話が嬉しかったのです。
彼は彼女に恋をしていました。彼女は言葉に棘があり傲慢で我儘な所がありましたがとても純粋で無垢な所もあり彼はそんな彼女を守ってあげたいと思う様になりました。
彼女も彼に恋をしていました。自分よりも弱いはずなのに笑顔が絶えず優しく親切で時には叱ってくれる、そんな彼に惹かれていたのです。
しかしある日を境にぱたりと彼女は花屋に出向く事は無くなりました。それは彼が彼女にプロポーズをした時です。彼女は大層喜びましたが自分が悪の魔女だと知ったら嫌われてしまうと思い彼と距離を置くことにしたのです。ですが彼も諦めません。彼は花屋を休んでまで旅をして彼女を探したのです。
そして偶然か必然か、彼女の屋敷へと辿り着いた彼は彼女を見つけてこう言いました「これは運命だ。君がどんな人間でも構わない。だから側にいて欲しい。」と。彼はどこかで気付いていたのです、彼女の只ならぬ魔力と寂しそうな表情に。彼女は初めて嬉し涙を流して彼を抱き締めました。そして二人は堅い絆と愛情で結ばれたのです。
彼と彼女の間には子供がたくさん出来ました。男の子が3人と女の子が3人です。魔女の血を色濃く受け継いだ子供達にはそれぞれ魔力が宿っていました。それでも彼は子供達を溺愛し彼女もまたその魔力を活用出来るよう様々な事を教え込みました。
すくすく育った兄妹達は外の世界を詳しくは知りませんでした。しかしそんな兄妹達にも出会いはつきものです。
さてさて悪い魔女は大人しくそれを見過ごすのでしょうか?……この先はまだ誰にも分からない話____
このお話は悪い魔女と花屋の男性が幸せに結ばれ、たくさん授かった六人の子供たちと偶然にも屋敷に出入りし始める←六人の男女が繰り広げるドタバタほのぼの?なファンタジーです。←
意外と長くもなかった話ですね…。
まだレス禁止ですよ!!
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