春がめぐり来るたび、藤色の便箋を取り出して、書いては消し、書いては消しを繰り返す。美しい情景を紡いでくれたあの人が、現実世界で幸せな道を歩んでますように、と祈りながら、再見を望まずにはいられない、未練がましい雲も居る。