甘いのに饐えたような、ツンと鼻に届く匂い。 咲くと同時にぽろりと落ちてしまうような、実ったと思えば枯れるような、想い。 ふわふわと浮き沈みする感情に酔っていたのだと思う。 手を伸ばせば触れて、するりと抜け落ちる、そんな感覚。 もう止めてしまいたいと思いながらも、なぞるのは類似の記憶。求めるのは似通った花。 初めに見た姿などとうに忘れてしまっているのに。