黒猫 悠華 2017-05-22 16:43:58 |
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。プロローグ。
「最初の質問」
何もない、空虚な空間で、君がよく通る声が、俺を呼び掛ける。
「君はなんであの日から私といた、の?」
君は意図的に過去形にした。それが少し、つっかかった。
「···次の質問」
どんどん君が遠ざかっているようにみえる。ああ、いつもの、君みたいだ。
「···君はなんで私を見つけたの?」
ここで何も言わなかったら、何もしなかったら、きっと後悔する。
「じゃあ、最後の質問」
待って。
そういった、つもりだった。声が思うようにでない。あーあ。いつでも出せるように練習しとけば、良かったな。
「どうして、君はしゃべれないの?」
分かってて言っているのか?君は。しゃべれないんじゃない、しゃべりたくないのも、知ってるはずなのに。
君が遠ざかっていく。
待って、待ってくれ。まだ君に伝えたいことがあるんだ。
俺が出す音はどれも、息だけのもの。そんな自分に腹が立つ。声を出したいのに、出せないことが、嫌で嫌で。でも出そうとしないのは、出したくないのは俺で。
君が見えなくなったころ、俺はやっと言葉を発する。
「________________________」
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