カリレジェ長男様 2017-04-16 21:41:01 |
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>一松
ッ、オレがお前たちと同じ新品だってことは知っているだろう?この子はただの迷子さ。さながらラビリンスに迷い込んだ…、(本泣きになる前の少女を宥める最中、降り注いだ怒気を孕んだ聞き覚えのある声に瞳を揺らしたのと同時に首元を掴まれ、膝を折った不安定な体勢から引き起こされるように立ち上がり。剣呑な眼差しで此方を睨み付ける弟に息を詰まらせ、己が身の潔白を説明、続く気障ったらしい言葉は先程の大声に脅えたらしい少女の甲高い泣き声によって阻まれ。周囲を行き交う人々からの突き刺さる視線に弟と迷子を順に見やった後、涙を溢す少女を片腕に掬うように抱き抱え、もう一方の手で弟の手首を握り、その場から離れようと)……この子の親を探してやらないと。とにかく今は先に泣き止ましてくれ。お前は猫の扱いが得意なんだから子供の扱いもうまい筈だ。信じてるぜ。
>チョロ松
フッ……ああ、行こうか。ガール。(伏せた顔を隠すように柔らかな黒糸が流れ、丸い頬を透明な滴が伝う。今にも大声を上げて泣き出しそうな幼子に、これ以上の気の利いた励ましが思い付かず、いよいよ表情を曇らせるばかりであったが突如として鼓膜を揺らした声色に瞳を丸め、隣を見やり。何処かに出掛けた帰りだろうか、同じように傍らで少女と視線を交える片割れの姿に不思議と心に余裕が生まれ、先程までの焦燥も掻き消え。しっかり者の弟に促されるがまま小さな左手を遠慮がちに握ると、子供の歩幅に合わせ、普段よりゆっくりと歩みながら誇らしげに笑み)チョロ松は小さな子の扱いも心得ているんだな。兄として誇らしいぜ。…今は買い物帰りか?
>おそ松
迷える子羊を導く…オレ。(改めて周りを見渡そうと腰を上げた刹那、どうしようもなく恋い焦がれる声と共に軽く背を叩かれ、ぴくりと肩を震わせる。己が仄暗い劣情を抱く兄は、妙なところで敏い。兄弟に纏わることであるなら殊更。邪気のない瞳を正面から直視するのは憚られ、サングラスを掛けるべく胸元に利き手を伸ばしかけるも本日の服装がパーフェクトファッションではなかったことを思い出して小休止。シンプルなシャツに胸ポケットは存在せず、当然、愛用の装飾品が引っ掛かっている筈もない、やむを得えずに行き場を失った右手を顎に添えると兄の方を振り向き様に渾身のキメ顔でウインクを一つ。一連のやり取りを前に姿かたちのよく似た青年と己を交互に見比べ、きょとりと首を傾げて見せた迷子の様子に柔く目淵を細めて)どうせ暇なんだろう、二人でガールとランデブーと洒落こもうじゃないか。
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