フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(綺麗に見えた木ノ実は美味しいものではないらしい。なんだか残念な気がしてならず、しょんぼりと肩を落とす。木ノ実の代わりに美味しいと勧められて帽子の中に入れられたのは杏の実。コロコロと黄色く塾れた実は確かに見ているだけで美味しそうだ。"わぁ"と感嘆しては、親指と人差し指で摘んで目の高さまで持ち上げる。「めっちゃ美味しそう!今食べてもええ?」待ち切れない、と逸る気持ちのままに問いかけた声音は弾んでいて。こんな広い森の中から杏の実を見つけ出すことは大層大変なことに思えて仕方ない。木ノ実に詳しかったこともあり、目の前の彼はそういった物に精通しているように見える。「お兄さんは、えらい植物とかに詳しいんやね。生物学者とか、薬師とかなん?」思ったままを疑問として口に出しては、小首を傾げてじっ、と反応を待ち。頬が痛くない程度に擦って漸く綺麗になった肌に満足していれば、まさかのハンカチを心配する言葉をかけられ意味を理解するのに数秒要してしまい。パチパチと目を何度か瞬かせた後、じわじわと言葉の意味を理解しては"っあはは"と吹き出すように笑い声が弾け。「お兄さん、変な人やなあ。ハンカチなん、洗ったら綺麗になるのに。それより自分の身体の心配しぃな。小さい傷口からばい菌入ったら大変なんやから」ピラピラとハンカチを振り、なんて事ないとアピールする。次に彼の身体へ視線を移しては、何処をどう通ってきたのか分からぬほど汚れている姿を指摘し、怪我がないか上から下へと視線を往復させ。月の色、と称されたものが一体何か。彼とカチリとあった瞳が言葉よりも分かりやすく伝えてくる。一瞬驚きで目を見開くも、次の瞬間には嬉しげにハニカミへと変えて。「うちのお気に入りポイント。あんま見かけん色やろ?うちの瞳が月の色言うんやったら…お兄さんの髪色は夕焼けから夜へ移り変わる色のようやね」綺麗にグラデーションがかかる髪色は見ていてとても楽しい。まるで燃えるような夕焼けから、月を優しく抱く闇色へと毛先から頭頂にかけて移り行く様子を見事に表しているようだ。ほぅ、と吐息を落としては、自分の例えがしっくりきたのか満足げに両口角を持ち上げて)
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