フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(相変わらずの憎まれ口は、髪の隙間から窺える仄かに赤く染まった耳朶と相まって愛しさしか感じない。ここまで言葉と反応が合っていないのも珍しいが、それを見抜ける事に少しの優越感を持ってしまう。クスクス、と小さく漏れた笑い声。擽ったいまでの愛らしさに、さてどうしてくれようかと思案して。「なんや俺ん為に作ってくれたんやろォ?ふーちゃんの作ってくれたん食って腹壊れたかて、寧ろ本望やわ」例え最初からそうと知っていても食べきれる自信はある。更に付け加えれば、責任を感じて面倒見てくれるだろう相手の姿を想像して尚良し、と思ってしまうのは人として流石に駄目であろうか。お強請り攻撃に葛藤する様に、しかしキッパリと突っ撥ねられてしまえば、これ以上彼にそんな悲しげな顔をさせたくない、という思いも芽生えてくる。反比例する思いを天秤にかけ悩むこと暫し。「分かった、ふーちゃんがそこまで言うなら今回はこっちの分だけ貰ったる。やけどホンマにふーちゃんが作るやつやったら焦げとっても砂糖と塩間違えとっても、美味しく食える自信あんねんで?」人に渡すものとしては上手く出来る方が良いのだろうが、己にとって一番大事なのは彼が自分の為を思って作ってくれたその気持ち。浅く噛み締められた唇を親指の腹で撫で「…傷ついてまうで?」込められた力を緩めるように下唇に舌を這わせては啄むように数度唇を合わせ。皆が寝静まる深夜とはいえ、いつ誰が来るかも分からぬダイニング。流石にそれ以上の事が出来るわけもなく、篭った熱を逃がすように熱い吐息を零してはゆるりと彼から離れ。気分を入れ替える様に"あーん"と口を開けては「ふーちゃんの我儘聞いたったんやから、俺の我儘も聞いてェな。このクッキー、食べさせて欲しいわァ」何とも無茶苦茶な理由をこじつけて、雛鳥の様に餌付けを強請り)
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