フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(くん、と鼻を動かし彼の匂いを嗅げば先程よりかは幾分匂いが緩和されたような気がする。勿論完全ではないそれに"ぶぅ"と頬膨らませ「僕、ディー君の匂い好きやのになぁ」まだ不満げにポツリと抗議を。大人が何故煙草を好むのか、もしかしたら一生の謎かもしれない。「煙草の匂いするディー君はあんまり好きやない」折角良い香りがするのに、自分から苦い香りを纏うなんて信じられない。"べぇ"と舌を出し、軽い力でペチペチと彼の肩を叩いて。といっても煙草を吸うな、と強制できるものでもない。ひょっとしたら彼の楽しみだとしたら、其れを奪うのも可哀想だとむんずと口を噤んで。任せて、と頼もしい彼の様子にほっと安堵が入り混じった吐息を零す。座ったベンチはポカポカと木漏れ日に暖められ、何だか気持ちよく、トロリと瞼が落ちる。きっと頭に触れる手の感触と、柔らかな彼の声音が誘発剤にもなっているのだろう。間に置かれた籠を抱き込むように持ち、コロリとそのまま彼の膝に頭を乗せるように横になって。視線は合わせぬよう、そよりと揺れ動く葉先を眺める。「…ディー君は、ダム君が今までと違う所に行ってもたらどうする?気持ちがどっか違う所に向いてもたら、どう思う?」違うところ、とは身体面でもそうだが精神面の事も指している。彼らも双子ならば他者では感じられぬシンパシーを感じた事があるのではないか。「…ここだけの話にしてなぁ?僕、あんまり大人が好きやない。でもコッチに来て兄ちゃんはフラミンゴ君に会うたし、ソヨンも自分の趣味を理解して助けてくれる大人に出会えた。きっと幸せな事なんやろうなぁ…。…僕だけ置いてけぼりや」普段の明るさは鳴りを潜め、何処か陰を落とした瞳を瞼裏に閉ざして。この国に順応したようで、まだ小さな頭では本当の意味で理解が追いついていなかった。じわじわと分かってきた頃には二人は一歩も二歩も先に進んでしまっていた。「僕もここのみんながだぁい好き。…だから駄々捏ねれんかったわぁ。もうちょっと一緒に居てって…」何れは別離する事は分かっていた。家族とて別の人間、其々の人生があるのだから。ただ予想より少しばかり早かっただけ。家族の二人にも、これから新たに家族となるフラミンゴにも明るい自分だけを見せたかった。でないと優しい彼等はやりたい事、したい事を躊躇してしまうかもしれないから。ぐるぐると考え込んだ頭は疲れてしまい、癒しを求めるようにゴロンと彼の方へ体制を変えてはそのお腹にぐりぐりと額を押し付け、言葉にはせず撫でて、と要求を)
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